日本とエルメス

エルメスと日本との関係は、3代エミール・モーリス・エルメスの時代、日本では明治時代にあたる時期に、皇族を中心に使われたことから始まります。しかし、エルメス自体が海外に向けた多角的な事業展開が始めたばかりの時期でしたので、知名度という点ではこの時期、ほとんどなかったといっても過言ではありません。

戦後の1964年、百貨店の中に日本で最初のエルメス販売代理店が入りましたが、依然として知名度は高くなかったので全くといっていいほど売れませんでした。その後、銀座の百貨店に出店され、1979年に、丸の内に初めて直営店がオープンしたことから、本格的にエルメス人気に火がつくこととなります。直営店には、当時日本にほとんどなかったウィンドウ・ディスプレイが設置され、エルメスの高級感あふれる商品が並びました。この広告戦略は大成功し、エルメスは瞬く間に丸の内で働く女性たちにとっての憧れとなりました。5代目のジャン・ルイ・デュマ・エルメスの広告・製品戦略により世界中に人気が広がっていく1980年代後半から90年代前半には、日本はバブル景気を迎えていました。高級ブランド品の需要が高まりを見せたこの時期、エルメスもその波に乗り、日本で高級ブランドの地位を確立しました。

エルメスは他の高級ブランドと比べると、世界的にみても日本でも、人気に火がつくのは遅かったといえるかも知れません。しかし、だからといってそれはエルメスの人気が流行的な、一過性にものであることにもつながりません。大胆な広告戦略を行ったことで認知度を上げたエルメスは、それを裏付ける高品質で高級感あふれる商品を一貫して作り続けているからです。